恋の微熱に溺れて…
「今日はこれぐらいで我慢してあげます。今夜はお楽しみが控えてますからね。では髪を乾かしてきます。風邪を引きたくないので」

そう言い残して、慧くんは脱衣所へと向かった。
恥ずかしかったのであろう。照れている彼も愛おしかった。
一人残された私は、彼の照れて恥ずかしそうにしている顔を思い浮かべながら、彼が戻ってくるのを待った。
待つこと数分後、彼は思ったよりも早く戻ってきた。男性だからか、髪が短いため乾くのが早いのであろう。

「京香さん、お待たせしました…」

髪が乾いた彼も色っぽくて。それはそれで見惚れてしまった。

「おかえり。慧くんって髪、サラサラなんだね」

思わず咄嗟にまた髪について触れてしまった。これじゃまた見惚れていたことを、自ら暴露しているようなものだ。
でも慧くんの髪が綺麗だと思ったのは本当だ。それぐらい慧くんの髪は綺麗で。羨ましいと思っている。

「そうですかね?俺は京香さんの髪の方がサラサラしていて綺麗だと思います」

自分ではそう思わないが、彼氏にそう思ってもらえて嬉しかった。

「そうかな?そう言ってくれてありがとう…」

「そうですよ。きっとちゃんとケアをしてるんだろうなって思ってます」

確かにヘアケアはちゃんとやっているが、必要最低限しかしていないため、慧くんが思っているほど特別なことはしていない。

「一応やってるけど、そんなにちゃんとはやってないよ。必要最低限ぐらいかな…」

「それでも俺からしたら、ちゃんとしてますよ。俺もケアをしてみようかな」

慧くんはそのままで充分だと思うが、ケアをした彼は更に輝きを増すであろう。

「さて、お風呂も入りましたし、そろそろ夕飯にしますか」

待ちに待った夕飯タイム。慧くんの美味しい料理に美味しいお酒を堪能できる…。

「そうだね。そうしよう」
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