恋の微熱に溺れて…


           *


昼食を食べ終え、真っ先にアトラクションへと向かった。
向かった先は、コーヒーカップだった。

「京香さん、コーヒーカップは大丈夫ですか?」

乗る前に確認を取ってくれる、慧くんの優しさが素敵だなと感心した。

「うん。大丈夫だよ。でも、あんまり激しく回さないでもらえると助かる」

激しく回されると、目が回ってしまうので、そこさえ気をつけてもらえれば、基本大丈夫だ。

「安心してください。僕もあまり回しすぎると、目が回ってしまうので、程々に回しますよ」

その言葉が聞けて、私は安心した。
でも、苦手なのに、どうしてコーヒーカップに乗りたいのだろうか。慧くんの意図が分からなかった。

「そうなの?本当に?」

もしかしたら、私に気を使ってそう言ってくれているのかもしれない。
でも、本当に苦手な可能性だってある。その場合は二人して無理して乗る必要はない。その分、違うアトラクションに乗ればいいだけの話だ。

「本当ですよ。でも、コーヒーカップに乗るのが好きなんです」

どうやら、コーヒーカップが好きなようだ。
それなら、乗る理由がある。

「そっか。それなら、コーヒーカップに乗るの、楽しみだね」

慧くんの好きなものを知れて、慧くんとの距離が縮んだような気がした。

「はい。とても楽しみです!」

私達はコーヒーカップに乗り、楽しんだ。
その勢いのまま、色んなアトラクションに乗った。
気がついたら、日が暮れ始めていた。
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