恋の微熱に溺れて…
「京香さん、次で最後のアトラクションです」

そう言われて、連れて来られたのは、観覧車だった…。

「高い所は大丈夫ですか?」

苦手ではないので、「大丈夫だよ」と答えた。

「それならよかったです。早速、乗りましょう」

順番に回ってきたゴンドラに乗った。
お互いに向き合う形で座った。

「京香さんと一緒に観覧車に乗れて嬉しいです」

どうして、慧くんはこんなにも私を喜ばせる言葉が言えるのだろうか。
紅い夕陽のように、私の頬は赤く染まっていた。

「私も嬉しいよ」

私がそう言った瞬間、慧くんの表情は真剣な表情に変わった。

「そっちに行ってもいいですか?」

どうやら、私の隣に来たいみたいだ。
拒否する理由がないので、「いいよ」と答えた。
私の答えを聞いて、慧くんが私の隣に座った。
私の鼓動は一気に高鳴った。

「京香さん。もうすぐ頂上ですね」

慧くんの言葉を聞き、私は上を見上げた。
まだ乗ったばかりだと思っていたのに、あっという間に上の方まで来ていたみたいだ。

「本当だ。結構、上の方だね」

次の瞬間、私は腕を掴まれ、向きを慧くんの方に変えられた。
そして、そのまま慧くんは私の唇にキスをした。
時が止まったかのように感じた。まるで少女漫画みたいなシチュエーションだなと思った。

「頂上でキスをすると、そのカップルは永遠に結ばれる…という逸話があるんです」

それこそ、少女漫画によくある展開だ。
その展開に、私はひたすらドキドキしていた…。

「そういうのあるよね。すごくドキドキした」

現実でこういうことをする人がいるんだなと思った。

「京香さん、この後、まだ時間はありますか?」

慧くんとのデートがある日に、他の予定なんか入れない。

「あるよ」

「よかったらこの後、家に来ませんか?」

まさか遊園地デートの後に、慧くん家にお邪魔する流れになるなんて、想像すらしていなかった。

「うん。いいよ…」

急遽、慧くん家にお邪魔することになった…。
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