恋の微熱に溺れて…

14度:ドキドキ!バレンタイン

お正月を終えてからあっという間に時間が過ぎていき、気がついたらバレンタインの季節がやってきた。
今までの私は特に関係のないイベントだった。寧ろ美味しいチョコレートがたくさん販売されるので、それを楽しみに購入したりしていた。
でも今回はそういうわけにはいかない。彼氏がいるのだから、チョコを渡さないわけにはいかない。
世の彼氏がいる女性は、一体どうしているのだろうか。ちょっとお高いチョコを買っているのか、はたまた手作りをしているのか。
私はこれまでお菓子作りをあまりしたことがない。それこそ学生の頃に友チョコという文化があったため、その時だけ限定でお菓子作りを頑張った。
それ以来、お菓子作りなんてしていないため、手作りは自信がない。できれば作られたものを買って渡したい。
仕事を終えて、デパ地下に行って良い物がないか見に行こうと思っていた矢先の出来事だった。

「京香さん、お疲れ様です」

一人で帰り道を歩いていたら、後から仕事を終えた慧くんに声をかけられた。

「慧くんもお疲れ様」

今日は平日なため、明日も仕事があるので、慧くん家には寄らない。それぞれの家へと帰る。
それでも時間が合えば一緒に駅まで帰ることはある。今日はたまたま会ったので、駅まで一緒に帰れて嬉しかった。

「京香さん。もうすぐ何があるか知ってますか?」

いきなり核心に触れてきた。まさか慧くんの方から話題に出してくるなんて思ってもみなかった。

「知ってるよ。街中の至る所でフェアをしてるからね」

駅ビルのお店には既にバレンタインフェアが開催されている。
いつもは自分が美味しいチョコを食べるために覗いていたので気が楽だったが、今年は彼氏のために選ばないといけないのでいつもより緊張している…。

「確かにそうですね。街中がそんな雰囲気になってますね」

慧くんの話の意図が読めなかった。チョコを渡すのを忘れていないかチェックしたかったのかな?
それなら問題ない。さすがに付き合って初めてのバレンタインは忘れない。
私以上にバレンタインを楽しみにしている彼が可愛いと思った。彼のためにも良いチョコを選ぼうと心に誓った。
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