恋の微熱に溺れて…
「一緒にお昼ご飯を食べませんか?」

想像していなかったことが起きた。まさか羽月くんにご飯に誘われるなんて、思ってもみなかったから。
嬉しかった。誘ってもらえたことが。私の答えは一つしかなかった。

「私でよければ、一緒に食べたいです。
なので、お昼一緒によろしくお願いします」

私の答えを聞いて安心したのか、嬉しそうな表情に変わった。
羽月くんの表情を見て、私の心は鷲掴みにされた。

「それじゃ早速、お昼ご飯を食べに行きましょう」

「うん。そうだね。行こっか」

こうして、ひょんなことから、二人でお昼ご飯を食べに行くことになった。


           *


羽月くんがおすすめのお店に連れて来てもらった。
そのお店は外観も内装もお洒落で。あまりこういった場に慣れていなくて。ソワソワしてしまう...。

「葉月さんは食べる物、決まりましたか?」

メニューを全然見ていなかったため、まだ何を食べたいか決まっていない。

「ごめんなさい。まだ決まってなくて...」

「そうでしたか。急かすようなことを言ってしまい、ごめんなさい」

羽月くんは何も悪くない。こういったお洒落なお店が得意ではない、私が悪いのだから。

「大丈夫だよ。羽月くんがそこまで気にする必要はないから」

「そうですかね?そう言って下さり、ありがとうございます」

二人の間に気まずい空気が流れ始める。
どうにか空気を変えるため、話題作りをしようと画策する。

「羽月くん。こんなタイミングで言うのもあれだけど、もう食べたい物が決まりました」

「そうなんですね。それじゃ、注文しちゃいましょうか。すみません...」

羽月くんのような人気者は、どんな場面にもすぐに臨機応変に対応できるんだなと思った。
同時に住む世界が違うなということを、再確認させられた。
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