恋の微熱に溺れて…
《今夜、家に来ませんか?》

平日はなるべく抑えているとはいえども、蜜月期の恋人にはそんなのは関係なくて。
今すぐにでも触れ合いたくて、仕方がなかった。

《行きたい。お邪魔させてください》

まだ仕事中だというのに、こっそりメッセージのやり取りを交わす。
バレたらお終いだ。怒られるだけで済めばいい話だが…。
ヒヤヒヤしながら、メッセージを送り合う。見ている人がいたら即バレだ。
こういう時、社内恋愛って大変だなと思った。

《それじゃ今夜、よろしくお願いします》

あと数十分で仕事が終わるかと思うと、ドキドキしてきた…。
仕事終わりのデートを楽しみに、残りの時間を頑張った。


           *


社内で合流するわけにはいかないので、待ち合わせ場所を事前に決めて、待ち合わせ場所で落ち合った。

「お待たせしました、京香さん」

慌てて慧くんは来てくれたみたいだ。それだけで嬉しかった。

「ううん、大丈夫だよ。わざわざ時間をズラしてくれてありがとう」

なるべく一緒に帰らないようにしている。途中で落ち合ってから、一緒に帰ることが多い。
たまに流れで駅まで一緒に帰ることもある。ずっと避けていると、逆に不自然だから。
今日みたいな日は、帰る路線が一緒なため、誰かに見られるのを恐れて、わざと帰りをズラしたのであった…。
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