恋の微熱に溺れて…
「いえ。そんな。早くお家へ帰りましょう」

私の腕を掴み、その場をそそくさと去った。
慧くん家に着くまでの間、ずっと腕を掴まれていた。
玄関の扉が開いた瞬間、中に押し込まれた。
あまりにも強引だったため、最初は驚いたが、次の瞬間、いきなりキスをされた。
最初からいきなり激しいキスをするのは珍しい。息が苦しくて。呼吸することさえままならない。

「京香さん、ごめんなさい。俺、京香さんが欲しいです…」

ずっと慧くんも我慢していたのであろう。
そう思ったら、仕事中にメッセージを送ってくれた慧くんの姿を想像してしまった。

「私も今すぐ慧くんが欲しい…です……」

まさか自分からこんなことをお願いする日がくるなんて。
恥ずかしいけど、それよりも慧くんの温もりを早く感じたかった。

「それじゃ、ここでしちゃいましょうか」

玄関で?その前にちゃんとアレは持っているのだろうか。さすがにアレナシでする勇気はない。

「安心してください。いつでもどこでもできるように、常備してますので」

さすが慧くん。用意周到だ。ずっと前からこうなることを考えていたのかな?と思うと、慧くんも男なんだなと思った。

「…ここじゃ嫌なら、ベッドまで我慢します。どうしますか?」

ちゃんとアレが今あるのなら、断る理由はなかった。

「い、いいよ。ここでしても…」

「分かりました。ダメって言われても、もう止めませんので」

そう言った後、慧くんは再び激しいキスをしてきた。
キスに溺れている間、流れるようにことは進んでいき、玄関で一つに繋がった。
身体の力が抜けて、立っているだけでも精一杯で。どうにもならないくらい、慧くんの熱に溺れた。
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