恋の微熱に溺れて…
好きな人に触られると、特別な魔法にでもかけられたような気分になってしまう。

「そうかな?ありがとう」

慧くんの手が好き。こうして頭に触れるだけで、彼の温もりを感じられる。それがとても幸せだ。

「散々求めておいてこんなことを言うのはおかしいかもしれないですが、俺、こうしてただ触れているだけでも幸せなんです。相手が京香さんだから」

好きな人にそう言われて、嬉しくないわけがない。
あまりの嬉しさに、頬に涙が伝った。心から感動した。

「私も幸せだよ。こうして触れ合っているだけでも…」

慧くんが優しく正面から抱きしめてくれた。
まだお互いに何も見に纏っていない状態なため、お互いの肌の温もりを感じ合った。

「慧くん、肌もスベスベで羨ましい」

「京香さんもスベスベですよ。触り心地がとてもいいです」

慧くんがそれを証明するために、私の腕を優しく撫でた。
ただ撫でられているだけなのに、私の身体は再び熱を帯び始めていた。

「ありがとう。一応、頑張ってケアしてるので」

「そうなんですね。優しく触れなきゃ…ですね」

慧くんは優しく触れてきた。そっと優しく触れてきたので、逆にくすぐったくて、身を捩ってしまった。

「…もしかして、俺が触れただけで感じちゃいました?」

こういうところは必ず見逃さない慧くんが、早速指摘してきた。
私は昔から擽りに弱い。こういったちょっとした接触でも、すぐに反応してしまう。

「こういうのに私、弱くて…」

「へぇー。そうなんですね。良いこと聞いちゃいました」
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