恋の微熱に溺れて…

6.5度:好きな人の初めて…(※慧目線)

男として、好きな人の初めてを捧げてもらえることはとても嬉しい。
俺は幸せな余韻に浸りながら思い出していた。京香さんに恋した瞬間のことを…。

俺は入社してすぐに京香さんに惚れた。一目惚れに近かった。
仕事を通して京香さんと接していくうちに、人柄に惚れ、気持ちを自覚してからはずっとなんとかして京香さんと接点を持ちたいと思っていた。

そんな時に、大きなプロジェクトへ一緒に参加することが決まった。
あまりの嬉しさに気持ちを隠しきれず、積極的にアプローチしてしまった。
きっと京香さんは引いていたであろう。俺はそれでも幸せだった。一緒に過ごせたから。
だから、この幸せがあまりにも早く終了を迎えてしまったので、とても焦った。

酔っている京香さんを誰にも見せたくないと思い、俺が動いた。
でも、京香さん家は知らないし、いきなり俺ん家だと京香さんが動揺してしまう。
かといって、ラブホに行くわけにもいかないので、近くのビジネスホテルに行くことにした。

とりあえず、京香さんをベッドに寝かせた。
酔って目を覚ましたら、きっと喉が渇いていると思うので、水も用意した。
好きな人がこんなにも近くにいる。でも、今はまだ手を伸ばせない。
酔った相手に手を出すほど、俺は飢えていない。
そんなことをしてまで、好きな人を手に入れたくない。
相手の気持ちも大事にしたい。この時まではそう思っていた。京香さんに必ずお礼をすると言われるまでは…。
好きな人からそんな言葉を言われてしまったら、もう男は我慢できない。
素直に自分の気持ちを伝えた。“一晩一緒に過ごしたい”…と。
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