恋の微熱に溺れて…
*
葉月のあんな姿を見てしまった俺は、むしゃくしゃし、セフレを呼び出した。
「一樹から呼び出すなんて、珍しいわね」
基本、俺からは呼ばない。俺は女に困ったことがないから。
あの後輩には負けないくらい、俺も一応、イケメンの部類に入っている。
きっとあの後輩も同じ部類の人間だ。無条件でモテて。人を惹きつける。
どうして、イケメン同士で高嶺の花でもない女を、取り合わなければならないのだろうか。
あの様子から察するに、もう俺が手遅れなことは確実だ。
つまり、あの後輩に出し抜かれた…ということになる。
めちゃくちゃ悔しい。その想いをセフレにぶつけた。葉月を想いながら…。
「うるせー。黙れ」
強引にベッドに組み敷いた。セフレは驚いていたが、少し強引な俺に喜んでいた。
「一樹って、そういう一面もあるんだね」
葉月を好きになるまで、こんな自分を知らなかった。
誰かを好きになるって、こんなにも自分を抑えきれなくなるんだと初めて知った。
「どうでもいいだろう、そんなことは。身体だけの関係なんだから」
自分でも自分をクズだと思う。
それでも、こうして抱かせてくれる女がいるのだから、人は結局顔なのかもしれない。
「そうね。私も一樹の身体にしか興味ないし」
お互いに利害が一致しているので、ただひたすら身体を求め合った。
いつも以上に激しく抱いた。あの光景を忘れるために…。