恋の微熱に溺れて…
「今日は本当に凄かったね。またよろしく」

もうこの女とは終わりだ。俺はもうこの女をセフレとして見れない。

「……さよなら。もう次はない」

ホテル代を置いて、部屋を先に出た。
こうしている間も、どんどん葉月との距離ができていく。
虚しさが胸を占めた。その日はそのまま眠りに落ちた。


           *


暫くの間、俺は毎日、代わる代わる違う女を抱いた。
もう同じ女を抱けなくなってしまった。葉月への想いが募り過ぎたが故に。
何度も自分に言い聞かせた。もう無理なんじゃないかと…。
ただ、こんなイライラした気持ちのまま、葉月に接することはできないので、気持ちが落ち着くまで自分の欲を色んな女にぶつけた。
そうしているうちに、自然と気持ちも落ち着き、葉月に対する想いも今までと変わらない穏やかな感情へと戻れた。
でも、神様は時に残酷で。今はまだ会いたくない時に会わせてきた。

「久しぶり、如月くん」

葉月の方から声をかけてきた。
久しぶりに葉月と喋るため、変に緊張してしまっている…。

「おう、葉月。久しぶり」

意識してしまう。忘れるために、ずっと代わりに違う女を抱いてきたから。
ふと女達との情事を思い出してしまう。

「最近、どう?」

葉月はどんな風に鳴くのだろうか。どんな甘い表情をするのか。想像してしまう。
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