恋の微熱に溺れて…

8度:不穏

久しぶりに話したあの日以来、如月くんが話しかけてくる頻度が上がった。
同期ということ以外、特に接点もないため、そんなに仲の良い方ではない。
部署が違えば、そんなものだ。だって、話す機会があまりないから。
だから、どうしてこんなに話しかけてくるのか、不思議で仕方がなかった。

「よ。葉月」

十分休憩の時に、如月くんの方から話しかけてきた。
ちなみにお昼休憩は、外で慧くんと昼食を摂った。

「如月くん、最近話しかけてくるけど、何か私に用でもある?」

思いきって聞いてみた。もし、同期として何か相談があるのなら、話を聞こうと思った。
逆に話を聞くことしかできないと言った方が正しいけど…。

「いや、別に特に用事はないが…」

単に話しかけたかっただけみたいだ。それはそれで嬉しいが、急にこんなに話しかけられると少し警戒しまう。

「そっか。なんか変なことを聞いてごめんね」

「いや、大丈夫。俺の方こそしつこく話しかけてごめん」

如月くんに話しかけられること自体は悪くない。
ただ、今、私には付き合っている人がいる。その人の手前、他の男性と楽しそうに会話をする姿を見せられない。
それに、如月くんと得に話す内容がない。今まで通り、空気みたいな距離感が楽だと思っている。

「ううん、大丈夫。ただちょっとびっくりしちゃって。今までそんなに話してこなかったから、どうしてかな?って…」
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