恋の微熱に溺れて…
ずっと疑問に思っていた。今までこうして話しかけてくれていたら、何も思うことはなかった。
でも今更、どうして?仲良くしたいとか、そういう感じにしても、もう遅いと思うのだが…。

「まずかったか?俺が話しかけるの」

まずいかまずくないかでいったら、まずい。慧くんの目が気になる。
だから、私もこうして如月くんと話すのを躊躇っている。特に用もないのであれば…。

「うーん、今はちょっとね。ごめんね…」

やんわりと断った。如月くんの意図が分からないうちは、一定の距離を保っておきたかった。

「そっか。ごめん。また今度にする」

また今度か…。そんな機会があるか分からないけど、一旦諦めてくれたみたいで安心した。
そのまま仕事に集中し、早く家に帰って美味しいものでも一緒に慧くんと食べたいな…。なんてことを考えながら、仕事を頑張った。


           *


やっと仕事を終えたので、いつも通り待ち合わせ場所へと向かった。

「慧くん。待たせてごめんね…」

今回は先に慧くんの方が待ち合わせ場所に着いていた。
私は仕事が立て込んでおり、終わるのに時間がかかった。
なので、慌てて待ち合わせ場所に駆けつけたのであった。

「大丈夫ですよ。京香さん、お疲れ様です」

爽やかな笑顔で労ってくれた。それだけで疲れが吹き飛んだ。
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