恋の微熱に溺れて…
「うん。いいよ…」

慧くんが再びキスしてくれた。どんどんキスにより、蕩けていく。
心も身体も完全に慧くんのモノだ。もう慧くんナシでは生きていけない。
与えられる熱に溺れながら、慧くんに必死にしがみつく。
そうすると、慧くんは優しく包み込んでくれる。優しすぎる慧くんに、私の心も身体も更に慧くんを好きになっていく。
この熱は下がることなく、上がっていく一方だなと実感させられた。


           *


慧くんとの絆が深くなっていく一方で。こちらの男も一歩も譲る気配はなかった。

「よ。葉月」

また如月くんが話しかけてきた。
私が慧くんと付き合っていることは内緒なので、付き合っていることを知らないのは仕方ないが、こうも頻繁に話しかけられると、反応に困ってしまう。

「…如月くん、本当に用はないの?」

再度確認を取った。もし、本当に話があるのならば、時間を作るべきか迷ったからである。

「いや、本当にないけど。ただ葉月と話したいだけ」

如月くんって、こういうことを言う人なんだなと思った。
如月くんには申し訳ないけど、そういうイメージがなかったので、意外だった。

「そうなんだ。ちょっと意外」

私の中での如月くんのイメージは、クールな人という印象だった。
こんな風に用もなく話しかけてくるイメージが全然なかった。

「俺をなんだと思ってるんだ?俺だって話したい奴には…」

途中で言い淀んだ。結局、何が言いたかったのか、最後まで聞き取れなかった。
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