恋の微熱に溺れて…
「葉月、それってもしかして…」

如月くんが何かを言いかけた途端、再び救世主が目の前に現れた。

「京香さん。何してるんですか?」

慧くんはあくまで如月くんには触れず、私にだけ触れてきた。
でも、目でお互いにバチバチ火花を散らしている。

「羽月、先輩が先に話しているんだから、少しは気を使おうな」

如月くんが黙っているはずもなく、慧くんに対抗してきた。
そうなると、慧くんも黙っているはずがなかった。

「あれ?如月さん、いたんですね。全く気づきませんでした」

慧くんが頓知を働かせた。さすがにちょっと厳しいのでは…。

「へー。先輩に対して、その態度はすげーな」

火花は激化していく一方で。この場をどう収集すべきなのか分からず、困惑していた。

「すみません。でも、如月さんももう少し後輩に優しくした方がいいですよ」

両者共、折れる気配はない。相容れない関係なのだと察した。

「後輩が生意気だとつい、厳しくしたくなっちゃうんだよな」

二人がバチバチしていると、胸が痛くなる。
仲良くしてほしいとまでは言わないけど、どうしてこうもここまで相性が悪いのか、不思議に思った。

「如月くん。年下の後輩に、その態度はさすがに大人気ないわよ。
慧くんも一応、年上の先輩なんだから、もう少し礼儀を持って接しなさい。二人共、分かった?」

見るに堪えなかった。社会人として一応、自分の気持ちを隠すのは大事だと思った。
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