恋の微熱に溺れて…
これぐらいじゃ、私の気持ちはバレないよね?!
バレたらお終いだ。ここには居られない。越えてはならない線は越えない。
あくまで仕事上で大切な仲間であって。それ以上でもそれ以下でもない。
慧くんはカッコよくて。モテる。きっと彼女だっていると思うし、休日に可愛い女の子とデートしているであろう。
だから、私は期待していないし、それ以上は望まない。
この気持ちがいつか消えてなくなることを信じて、ただ一人想い続けるのであった...。

「僕も京香さんにそう言ってもらえて嬉しいです。照れますね。こうやってお互いに褒め合うと...」

確かに恥ずかしい。それでも慧くんに言ってもらった言葉は嬉しいので、嬉しさの方が勝っている。

「だね。あはは...。でも嬉しいからありがとう」

「いえ。こちらこそです......」

そのまま気まずい雰囲気になり、沈黙が続いた。
でも、今日はいつもと違って、悪くない沈黙だったので、気分が良いまま会社に戻った。


           *


終わりは突然、告げられた。

「来週でこのプロジェクトは終了となります。皆さんが協力してくれたお陰です。本当にありがとうございました」

なんだかんだこのプロジェクトのお仕事が面白くて。このメンバーと離れるのが寂しい。
それに、慧くんともうこんなふうに関われる機会が減るのも寂しくて。
もう終わりを痛感し、日常に戻るのが嫌だなと感じた。

「今まで頑張ってもらったお礼と、プロジェクトの成功をお祝いして、打ち上げを開催するので、皆さんよかったら参加してください」

打ち上げか...。打ち上げなんてやるの、学生の頃以来かもしれない。
慧くんも参加するのかな?もし、参加するのであれば参加したい。
お昼休みに聞いてみようかな。お昼が待ち遠しく感じた。
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