恋の微熱に溺れて…


           *


慧くん家に帰宅して早々、慧くんは私を甘やかした。
まず一緒にソファに座り、私を後ろから抱きしめてくれた。
そして、温かい飲み物を用意してくれた上に、マッサージまでしてくれた…。
こんなの少女漫画でも見たことないくらい、甘やかされている。もう何もしたくなくなりそうだ。

「ありがとう、慧くん」

「気にしないでください。俺がしたくてしていることなので」

抱きしめてくれる温もりから、優しさが伝わってきた。
こんなにも誰かに想われたことなんてないから、少し戸惑うこともあるけど、慧くんの気持ちを嬉しく思った。

「その気持ちが嬉しいの。たくさん想ってもらえて、幸せだなって」

私も同じように、慧くんを想っているつもりだが、それが慧くんに伝わっているかは分からない。
慧くんみたいに、上手く伝えられるようになりたい。
もっと自分の気持ちを届けられるように、頑張ろうと思う。

「京香さんが幸せなら、俺も幸せです」

慧くんが耳元で甘く囁いた。
その声が私の心の中を軽くしてくれた。

「京香さん。何かしたいことや、してほしいことはありますか?」

いきなり言われても、すぐには思い浮かばない。
でも、強いて言うならば…。

「美味しいものが食べたいかな。安心したら、お腹が空いちゃった」

「分かりました。それじゃ、美味しいものをデリバリーしましょう」

そう言って、慧くんはスマホを取り出し、操作し始めた。

「うちの近所だと頼めるものは、この辺ですかね…」

色々なお店があり、私は正直、こういった形で注文するのは苦手なので、訳が分からなかった。
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