恋の微熱に溺れて…
「ごめん。私、こういうの苦手だから、見せてもらってもよく分からなくて…」

私がそういうと、慧くんは優しく微笑んだ。
そして、笑いながら安心した顔をしていた。

「大丈夫ですよ。京香さんはこういったこと、苦手そうだなと思っていたので」

心配する必要はなかったみたいだ。
どうやら苦手なことは、バレていたみたいだ。

「ただ京香さんが、どんなものが食べたいのか知りたかったので、お見せしただけです」

確かに知らないと、食べたいものも見つからない。
慧くんの親切心を無駄にしてしまって、申し訳ないなと思った。

「ごめん。そうだとは知らず…」

「大丈夫ですよ。今から二人でじっくり見ましょう」

再び慧くんは、スマホの画面を見せてくれた。
画面上にはたくさんのお店があって。どのお店が良いのか、私にはよく分からなかった。

「京香さんは今、甘いものが食べたいとか、軽いものが食べたいとか、そういった希望はありますか?」

今の私の気分は、これしかなかった。

「私は軽食で、甘いものが食べたいな」

私の言葉を聞いた慧くんは、「分かりました。今、メニューを出しますね」と言って、スマホを操作し、メニューを見せてくれた。

「甘いもので軽食だと、こんな感じですね…」

先程より数は減ったが、それなりにまだ数はある。
その中から気になったものを見つけた。

「慧くん、これがいい」

私がいいなと思ったのは、オシャレなカフェのドリンクだ。

「このお店、いいですね。飲み物も食べ物もメニューが豊富ですし」

確かにメニューがたくさんある。選ぶのにまだ時間がかかりそうだ。
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