恋の微熱に溺れて…
「それならよかったです。今度は俺のサンドウィッチも食べてみませんか?」

慧くんのサンドウィッチを差し出された。
どうしたらいいのか分からず、そのままパクッとサンドウィッチに口付けた。
慧くんの方のサンドウィッチは、ベーコンとチーズとレタスのサンドウィッチで。
中に入っているチーズが、良い感じに溶けていて美味しい。

「こっちも美味しいね。チーズとベーコンが良い感じに美味しい」

「そうなんですよ。この組み合わせが絶妙で。本当に美味しい」

お互いに味の感想を言い合い、楽しい食事をした。
その日は楽しい時間を過ごし、何事もなく終わった。


           *


次の日の朝、目を覚ますと、隣に慧くんが眠っていた。
綺麗な顔だ。見ているだけでドキドキしてしまう…。
そして、そのまま洗面所に向かい、顔を洗うことにした。
その時、鏡を見て驚いた。首にたくさんのキスマークが付けられていた…。

「何これ…」

少し前からキスマークは付けられていたが、こんなにも分かりやすく、しかも隠しづらいところにたくさん付けられたのは初めてで。
これはもうどう考えても、如月くんに向けたメッセージでしかなかった。
私はこのキスマークを見て、複雑な気持ちになった。
本来なら嬉しいのかもしれないけど、私の心はモヤモヤしていた。

昨日みたいな守られ方は嬉しい。大切にされていると実感できるから。
でも、このキスマークは違う。これは私の気持ちを優先せず、慧くんの気持ちしか見えていない表れだ。
どうしてだろう。如月くんに同情してしまった。そして、同時に慧くんに対して怖いと感じた。

私はそのまま慧くんの家を出た。荷物を持って…。
その日はお休みだったため、そのまま自分ん家へと帰り、家から一歩も出なかった。慧くんからの連絡も無視した。
私はこの状況をどうしたらいいのか分からず、戸惑っていた。
ただ残された赤い跡を見ながら、誰の気持ちも受け止めきれずにいた。
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