恋の微熱に溺れて…

9.5度:行き場のない想い(※慧目線)

こんなの、子供じみていると分かっていながらも、自分の気持ちを抑えきれなかった。

「京香さん、もう一回してもいいですか?」

優しい京香さんは、俺の我儘に何度も応じてくれる。
俺はそれに甘えて、自分の気持ちを何度も京香さんにぶつけていく。
気がついたら、京香さんの身体にはたくさんの赤い跡が…。
自分でも無意識のうちに、たくさんキスマークを付けていた。しかも見えるところに。
こんなに激しい感情になるのは初めてで。自分でも自分に戸惑っていた。

そんな自分が怖くて。敢えて京香さんとは何もしないで過ごす日もあった。
穏やかな感情で過ごす時間があると、すごく安心した。
でも、好きな人とは触れ合いたい。京香さんの温もりがないと、生きられない身体になっていた。
とはいっても、ただ一緒に過ごせるだけでも充分、幸せだ。相手が京香さんだから…。
いつからか気がつかないうちに、歯車は狂い始めていた。
気がつかないまま、俺は自分を正当化しようとしていた…。

どんなに牽制をかけても、如月という男は諦めなかった。
職場でも我を忘れて、如月とバチバチしてしまった。
一応、本人の前では、先輩なのでさん付けで呼んでいるが、心の中では憎いので、呼び捨てにしている。
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