恋の微熱に溺れて…
こんなの京香さんに知られたら、引かれて嫌われるかもしれないけど…。
でも俺の正直な気持ちは、ひたすら憎くて仕方がなかった。
そんな俺の態度は、本当に大人気なくて。京香さんに叱られた。
反省した。焦る気持ちよりも、好きな人を守る方が大切だと気づかされたからである。

せめて相手よりも先に謝ろうと思い、謝った。
俺が先に謝ったことに、京香さんは安心してくれた。俺は優越感に浸った。
その時は勝ち誇った気持ちになったが、後々になってまた焦りが募り始めた。

そんな俺を見兼ねて、京香さんが提案してくれた。“昼休憩以外の時間も、一緒に休憩しない?”…と。
その言葉だけでも嬉しかった。これからは職場でも堂々と京香さんと一緒に過ごせる。
これで如月を黙らせることができる。俺はまた優越感に浸った。
そんな俺の油断が、新たなトラブルを巻き起こした。


           *


それは二人ですぐに作戦を立てた時のことだった。
休憩時間がやってきたと同時に、俺の元へ京香さんが来る予定だった。
そのタイミングを狙って、如月は京香さんに近づいた。

俺はその光景を目の当たりにしても、一歩も動けなかった。
事態を悪化させたくないという気持ちもあったが、身体が凍りついてしまい、動かそうとしても動けなかった。
そんな自分がとても情けなくて。自分にイライラした。
京香さんが走って逃げ去るまで、俺の身体は動き出せなかった。

俺は慌てて、京香さんを追いかけ、なんとか如月が見つける前に見つけ出すことができた。
見つけた瞬間、抱きしめずにはいられなかった。
俺が守れなかった悔しさと、泣いていたであろうその顔を見たら、これからは俺が絶対に京香さんを守ると誓った。
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