恋の微熱に溺れて…
“俺は京香さんのためなら、なんだってできますので…”

その言葉に嘘偽りはない。本当に京香さんのためなら、なんだってできる。
でも今思えば、俺のそのたった一言が、京香さんの心を苦しめていたのかもしれない。
本当は心の中で、如月に()られたくないということだけを必死に考えていた。
その結果、京香さんの心を傷つけた。次の日、隣に京香さんの姿はなかった。
俺の心の中にぽっかりと穴が空いた。また大切な人を失うのではないかという恐怖に襲われた。
もう大切な人を失いたくない。だから、俺はここで変わることを決意した。

まずはちゃんと京香さんに謝りたい。そして、その上で京香さんをたくさん甘やかしたい。
如月とは正々堂々と勝負し、その上でちゃんと京香さんの彼氏として、堂々と隣に立ちたい。
俺は覚悟を決めた。もう逃げないと。そんな決意をした裏で、向こうも新たな作戦を考え、動き出そうとしていた。
まだそのことに気づいていない俺は、どうやって京香さんに謝って仲直りをしようか、考えていた…。
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