恋の微熱に溺れて…

10度:それぞれの想い

黙って慧くん家を出てきてしまってから、慧くんと会うのが気まずい。
まだあれから仲直りしていない。どうやって仲直りしたらいいのか分からなくて。戸惑っている。
仕事も手に付かない。それぐらい自分にとって、慧くんが大切な存在になっているのだと実感させられた。
そんな状況なので、慧くんに話しかけにいけないし、向こうからも来てくれない。

もうこんな重たい空気は嫌だ。自分から動こうか悩んでいたら、如月くんが私の元へ近づいてきた。
あんなことがあったのに、よく私の元へ来れるなと思った。

「葉月、この間は本当にごめん」

まずは改めて謝ってくれた。ここではなく、人目のつかないところで謝ってほしかったが…。
でもとりあえず、謝ってくれたので、一旦許すことにした。

「…もう二度とこういうことはしないで」

私は穏やかに生きたいので、如月くんのような人気者に変な風に絡まれたくないし、目立ちたくない。

「分かった。気をつける」

本当に気をつけてくれるかどうか分からないが、一先ず言質を取れたので、何かあった時に証拠として利用させてもらおうと思う。

「あのさ、今夜、空いてるか?」

謝った途端、急に如月くんに誘われた。
今はそんな気分ではない。色々あった元凶だし、慧くんと一刻も早く仲直りがしたい。
それに、彼氏以外の男性の誘いには乗りたくない。ここはちゃんと断ろう。

「あの…、如月くん」

「ごめん。また後で返事を聞かせて」
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