恋の微熱に溺れて…
「そういえば、そうでしたね。気がついたら、仲直りできていましたけど」

二人して笑い合った。あまりにも状況が二転三転しすぎたからである。

「そうだね。もうその必要はなくなったね」

「ですね。またこうして京香さんと家で過ごせるようになって、俺、嬉しいです」

私だって嬉しい。慧くんと一緒に居る時間が幸せだから。

「私も嬉しい。今、幸せだよ」

自然に仲直りできたことは嬉しいが、やっぱり心の中で先程のことが引っかかっている。

「でも、今はどうしても、如月くんのことが気になるの。まさか如月くんが私を…」

好きって言葉を口にするのは憚られる。
それくらい、言いたくないし、事実を認めたくない。
如月くんとは、同期ということくらいしか接点がなくて。
まさか自分に好意を寄せているなんて、微塵も思わなかった。
如月くんはいつから私を好きで。私のどこが好きなんだろう。
どうして、このタイミングで告白してきたのかも謎だ。

「俺は如月さんの気持ちに、ずっと気づいてましたよ。俺にとってはライバルなので、そういったことに察知しやすかったですね」

慧くんからしてみたら、自分と同じ気持ちだからこそ、分かりやすかったのかもしれない。
でも、慧くんは私と違って、鈍感ではなさそうなので、そういったことに長けていそうだ。
さすが慧くんだなと、感心させられた。

「そっか。気づいてたんだね」

「はい。だから俺は、如月さんが不穏な動きを見せてきたので、焦ってしまいました。
京香さんの気持ちを無視して、たくさんキスマークを付けてしまって。その節は本当にごめんなさい…」
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