恋の微熱に溺れて…

12度:報われない想い(※一樹目線)

告白するつもりなんてなかった。このままずっと密かに想い続けるつもりでいた。
でも、羽月と一緒に居るところを見て、思わず勝手に身体と口が動いていた。

俺は今まで告白される側だった。
だから、告白なんてしたことがなかったし、この先も一生することなんてないんだろうと思っていた。

葉月と出会って、全てが変わった。
今まで女に困ったことがなかった俺が、初めて困った。
まず、葉月が鈍感すぎる。全く俺の気持ちに気づかない。
ここまで鈍感だと、もう長期戦で頑張るしかないと思った。

でも、俺の努力を一瞬で水の泡にしたのが、羽月だった。
悔しすぎて、いつしか羽月を恨むようになった。
自分の力不足だというのに、羽月を恨んだところで、どうにもならないことは分かっていた。それでも悔しかった。

張り合っても仕方ないが、俺の方が先に葉月を好きになった。そりゃそうだ。俺は葉月の同期なのだから。
一目惚れだった。初めて見た瞬間、言葉もまだ交わしていなかったのに、好きになっていた。
こんな風に誰かを好きになるのは初めてで。どうしたらいいのか分からず、ある一定の距離を置きながら、ずっと想い続けた。

ただ想い続けていただけで。一歩も前に踏み出せないまま、月日だけが経過していた。
何もできなかったから、後輩に好きな女を()られてしまったのかもしれない。
想い続けた時間の長さじゃない。大事なのはそれが本人にちゃんと届くかどうかだ。
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