恋の微熱に溺れて…
そんな時はずっと時計を確認してしまう。早く仕事が終わらないかな…と。
待ち遠しいという言葉の意味を、最近初めて知ったような気がする。
慧くんの愛は甘くて。でも重すぎなくて。ちゃんと愛されているなと実感することができる。
この愛は私だけの特別で。他の人に渡したくないし、他の人に譲らない。絶対に。
それぐらい、私の愛は日に日に大きくなっている。どんどん慧くんを好きになっている。
この熱は上昇していくばかりで。冷めることを知らない。

きっと如月くんも心の中で一人、そうなっているのかもしれないと思うと、自分で沈静化しない限りは難しいなと思った。
でも如月くんなら、いつか沈静化できると思う。
早く如月くんと普通の同僚に戻れることを信じた。


           *


今日が一番、やっと仕事が終わったと思った。
ルンルン気分を隠せないまま、身支度を始めた。

「お疲れ様でした。お先に失礼します…」

気がついたら、駆け足で歩いていた。
待ち合わせ場所まで向かう道のりが、もっと短ければいいのに…と思ってしまう。
それぐらい今、慧くんに会いたい気持ちが抑えきれないまま、慧くんとの待ち合わせ場所に向かっている最中だった…。

「葉月…」

偶然、如月くんと遭遇した。
もしかしたら、如月くんのことだから、偶然を装った可能性も高い。
それでも今、私に会ったということは、答えは一つしかなかった。

「如月くん…」

「葉月、今、返事が欲しい」

やっぱりそうだった。
私はずっと頭の中で考えていた答えを、伝えることにした。
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