恋の微熱に溺れて…
「ごめんなさい。如月くんの気持ちには応えられません」

はっきりと答えた。如月くんはそれを望んでいると思ったから。
すると、如月くんは優しく微笑んでから、喋り始めた。

「そっか。答えてくれてありがとう。幸せになれよ」

その言葉が嬉しかった。
これでやっとただの同僚に戻れると思った。

「うん、ありがとう。幸せになるね」

私がそう言うと、如月くんは、「またな」と一言だけ残し、その場を去った。
私はそのまま慧くんの元へと向かった。とびっきりの笑顔で…。

「慧くん、お待たせ」

先に待ち合わせ場所に着いていた慧くんに声をかけた。

「いえ。そんなに待ってないので大丈夫ですよ」

いつも通り、爽やかな笑顔でそう言われた。
そんな慧くんを見て、さすが慧くんだなと思った。

「…京香さん、嬉しそうですね。何か良いことでもありました?」

慧くんには表情だけで、すぐにバレてしまった。
私は先程起きた出来事を、慧くんに報告した。

「あのね、実はさっき如月くんに会ってね。それでやっと如月くんに答えを伝えることができたの。
これで心置きなく、同僚として接しられるなと思ったら嬉しくて」

如月くんが私を好きだという気持ち自体は嬉しかった。
でも、私が如月くんと同じ好きかどうかは別問題で。
私の気持ちは別の人にあったから、如月くんの気持ちに応えることはできなかった。
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