恋の微熱に溺れて…
《それじゃ、終わったらいつもの待ち合わせ場所で…》

仕事終わりにデートをする時に使う、待ち合わせ場所がある。
以前、よく使っていた待ち合わせ場所は、如月くんにバレてしまったので、また新たに決めた待ち合わせ場所がある。最近はよくそこで待ち合わせをしている。
私はとりあえず、《OK》というスタンプを送った。
また考えてしまう。今夜、するのかな?という淡い期待を…。
そんな期待に胸を膨らませながら、午後の仕事も頑張った。


           *


終わった瞬間、すぐに身支度を整え、慧くんとの待ち合わせ場所へ向かった。
逸る気持ちは抑えきれない。このままどこへ向かっていくのか分からない。
それでも怖いという気持ちはない。寧ろドキドキしている。
ドキドキしながら、慧くんとの待ち合わせ場所へと向かうと、先に慧くんが来ていた。
いつも思うのだが、必ず慧くんの方が先に来ている。さすが慧くんだなと感心させられた。

「慧くん、お待たせ」

ワクワクしている感情を隠しきれないまま、慧くんに声をかけた。

「いえ。そんなに待ってないですよ。それよりも京香さんに会えて嬉しいです」

慧くんもワクワクした表情を隠しきれていない様子…。
それを見て、私も思わずニヤけてしまう。
お互いにお互いの顔を見てニヤけている様子は、傍から見たら不気味であろう。
或いはただ男女がイチャついているようにしか見えないかもしれない。
後者であることを切に願った。

「私も慧くんに会えて嬉しい…」
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