恋の微熱に溺れて…
「そう?慧くんも仕事が早いね」

お互いにお互いを褒め合う。
こうやってお互いを尊重し合えることは素敵だ。
ずっとこうやって、お互いを想い合っていけたらいいなと思う。

「京香さんにそう言って頂き、光栄です。京香さんの方が手際が良いので」

相手を立てて、自分を低く見積もる。
常に相手を優先させる低い姿勢に、慧くんの心の綺麗さを感じた。

「…慧くんはいつも人の良いところを探すのが上手いよね」

私はそういったことに気づくのが疎いため、慧くんの観察眼にはいつも感心させられる。
私ももっと周りを見れるようになりたい。もう少し人の機敏に気づけるようになりたい。

「それは京香さんも同じだと思いますよ。基本的に京香さんって、人を悪く見ないじゃないですか」

自分では気づかない、人から見える自分を知り、驚く。
今の私達は周りが見えなくなるくらい、恋愛に溺れていた。
好きな人と似ている部分が多いだけで、舞い上がってしまう。

「それじゃ私達、良いところを探すのが上手い者同士だね」

「そうですね。俺達、めっちゃハッピーな二人ですね」

一度、嵐が起きたとはいえども、ずっと蜜月状態だ。
こんなにずっと幸せを感じられるのは、私達がお互いに良いところを見つける才能があるから。
それが分かった瞬間、これからもずっと永遠にハッピーでいられるという確信を持てた。

「だね。めっちゃ無敵だね、私達」

「はい。無敵です」

ブイサインをしながら、ドヤ顔でそう言ってくれた。
その顔が可愛くて癒された。
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