恋の微熱に溺れて…

15度:旅行デート

それはある日突然、慧くんの提案により決まった。

「京香さん、温泉に行きませんか?」

どうしていきなり温泉へ行こうと思ったのだろうか。
慧くんの考えはよく分からないが、温泉に行きたいという提案自体は、私も乗り気だ。

「だね。行こう」

温泉に行くのは久しぶりだ。最後に行ったのは、高校時代の親友と卒業旅行で行った以来…。
今ではお互いに仕事が忙しくて。なかなか休みが合わず。時々会えればいいといった感じだ。
親友の話はさておき、慧くんと温泉旅行…か。今から温泉旅行に行くのが楽しみだ。

「京香さんは行きたい温泉とかありますか?」

自分発信で提案したわけではないので、咄嗟に思い浮かばない。

「うーん…。特に思いつかないや。ごめんね」

謝る必要はないが、一緒に考える場面で一緒に考えることができず。申し訳ないと思い、謝った。

「いえ。それは大丈夫です。京香さんが特に行きたいところがないのでしたら、熱海に行きませんか?」

熱海といえば、イメージが温泉。
良い温泉がたくさんありそうで。想像だけでワクワクしてきた。

「いいね。熱海に行こう」

「それじゃ、熱海に行きましょう。色々調べておきますね」

いつも慧くんがリードしてくれる。私はそれにおんぶで抱っこ状態だ。
甘えてばかりで申し訳なく思う時もあるが、これが私達の形なのだと思う。
だからこういった時は、とことん慧くんに甘えることにしている。
< 94 / 241 >

この作品をシェア

pagetop