恋の微熱に溺れて…
「分かった。よろしくお願いします」

「はい。任せてください」

熱海旅行を楽しみに、計画を立てながら、日々のお仕事を乗り切った。
慧くんが色々調べてくれたお陰で、思ったよりも早く熱海旅行は決行された…。


          *


そして、ついに熱海旅行当日を迎えた…。
熱海までは慧くんの車で向かった。慧くんが車を持っていることは知らなかった。たまにはこうしてドライブをするのも悪くないなと思った。
思いの外、あっという間にドライブは終了し、目的地に着いた。

「…ふぅ。空気が澄んでるな」

確かにいつもの都会と比べて、空気が美味しく感じる。
これもきっと趣のある風景が、そう感じさせてくれたのであろう。

「そうだね。空気が美味しいね」

二人で空気を堪能した後、予約をした旅館へと向かった。
旅館に着くと、旅館の従業員さん達が出迎えてくれた。

「本日は園路遥々お越し下さいまして、ありがとうございます。お待ちしておりました」

女将さんが代表して、丁寧に挨拶をしてくれた。
私は女将さんの挨拶を聞いて、今からこの旅館に泊まるんだという実感が湧いてきた。

「チェックインを済まされましたら、お部屋へとご案内させて頂きますので」

一言告げた後、私達の元から離れ、少し遠くから私達を見守ってくれていた。
私達は受付へと向かい、チェックインを済ませた。
そのままお部屋へと案内され、そこで初めてどんなお部屋に泊まるのかを知った。
よくある和室で。部屋の奥を見ると、内風呂がある。
まさかお部屋にもお風呂があるなんて思ってもみなかった。
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