激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
翌日の朝――つまり今朝、紫緒は夢見心地で会社に向かった。
美悠は雰囲気イケメンと揶揄するが、紫緒から見たら充分にイケメンだ。
さらに営業のエース。そんな彼に食事に誘われ、楽しい時間を過ごした。
もしかしてこのままつきあうなんてことに。
昨夜はずっとどきどきしてなかなか寝付けなかった。恋愛に慣れていないからこそ、ちょっとしたことですぐに意識してしまう。
出勤直後、斗真が寄って来て紫緒の耳に囁く。
「二人で話したいんだけど。お昼、時間作ってもらえる?」
「はい!」
紫緒は即答した。
どんな話があるんだろう。
紫緒はどきどきと昼を待った。
美悠とのランチを断り、紫緒は斗真に指定された屋上へ行った。
普段は鍵がかかっている屋上のドアは鍵が開いていた。
ドアを開けて出ると、青い空が広がる。
その下で待つ斗真は、紫緒を見るとにこっと笑った。
紫緒の胸がどきんと鳴る。
ドアを閉めて彼のそばに行く。
斗真は緊張しているようだった。
紫緒もまた緊張した。