激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない



 ある程度大晴の酔いが冷めたところで、紫緒たちは店を出た。
 大晴がスマートウォッチで支払うのを見て、現代的だなあ、と同世代なのに感心してしまった。

 タクシーに一緒に乗って彼のマンションまで行くと、彼は半分寝ていた。
 電子決済ができないというので紫緒が現金で払い、彼をタクシーから降ろす。

「ちゃんと歩いて」
「うん」
 大晴は紫緒に寄り掛かって歩く。重くて重くて、密着していてもときめきどころじゃない。

 マンションはとても立派なものだった。
 植木のある回廊を通り、エントランスに着く。

「鍵は?」
「ん……」
 大晴が顔をあげると、ぴぴっと音がして自動ドアが開いた。

 顔認証!?
 紫緒は驚きながらも中に入る。

「お帰りなさいませ」
 声がして、エントランスの画面にCG合成の女性が映った。
「ご用件がございましたらお申しつけください」

「これ、どうしたらいいの?」
「ただのAIだよ。無視で」
 とろんとした目で、大晴が言う。
 あれってコンシェルジュ? と驚きながら歩く。
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