激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
『やっぱり巫女なんてやめたほうがいいんだよ』
 心配ゆえのその言葉は、紫緒の胸を深くえぐった。

『巫女なんて向いてないんだよ。僕が支えるから来て』
 優しく残酷な言葉に、すぐには返信ができなかった。

『今やめたら、自分に負けた気がして嫌なの』
 そう返信するのが精いっぱいだった。



「最近、疲れてるね」
「ちょっとだけ」
 紗苗に言われて、紫緒は返す。

「頑張りすぎてない? 空いてる時間はずっと御朱印か舞の練習でしょ」
「でも、頑張らないとみなさんに追いつけないので」

「私たちは何年もやってるんだからできて当然なのよ。ねえ?」
「焦らないでいいんですよ」
 絵麻が頷く。

「逆に、ちょっと努力しただけで超えられたら泣ける」
「確かに」

 紗苗と絵麻がからからと笑う。
 そう言われると、なんだか体から無駄な力が抜けていくようだった。

「夏祭りに舞いを披露しないといけないですから、それは頑張りたいです」
「なんのために頑張るの?」
「え?」
 予想外の質問だった。
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