激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
今頃は千暁は白い袍と袴の斎服を着て纓の伸びた冠をつけて儀式を執り行っているはずだ。ぱっと見は平安貴族の男性のようだった。
暑いせいか参拝客も少なく、紫緒は御朱印の練習をしていた。
ふと顔を上げると、一人の男性が拝殿に近付くのが見えた。
スマホを取り出し、拝殿の様子を映し始める。
紫緒は眉を寄せてそれを見た。
なんで撮影なんて?
彼は普段着だし、結婚式の関係者ではないはず。
不安はいっきに紫緒の心を支配した。
筆を置くと、すぐさま授与所を出る。
「申し訳ございません、儀式の撮影はご遠慮いたいだいております」
声をかけると、男は怒ったように振り返った。
「別に邪魔してないじゃないか」
「神聖な儀式ですので」
怖気づく自分を踏みとどまらさせ、紫緒は言う。
神社や寺は神聖な場所とされているから、撮影禁止となっている場合が多い。境内はOKでも内部や儀式の撮影は禁止という場合もある。
「お前んとこの神様、心狭すぎね?」
心の狭い広いの問題ではないと思う。
だが、紫緒はそれをうまく説明できない。
「ストーカーする人に言われたくないです」
ぽろっと口から出てしまい、慌てて口をつぐんだ。
「ストーカーじゃねえよ!」
叫び、男は怒ったように背を向けて歩き出した。
暑いせいか参拝客も少なく、紫緒は御朱印の練習をしていた。
ふと顔を上げると、一人の男性が拝殿に近付くのが見えた。
スマホを取り出し、拝殿の様子を映し始める。
紫緒は眉を寄せてそれを見た。
なんで撮影なんて?
彼は普段着だし、結婚式の関係者ではないはず。
不安はいっきに紫緒の心を支配した。
筆を置くと、すぐさま授与所を出る。
「申し訳ございません、儀式の撮影はご遠慮いたいだいております」
声をかけると、男は怒ったように振り返った。
「別に邪魔してないじゃないか」
「神聖な儀式ですので」
怖気づく自分を踏みとどまらさせ、紫緒は言う。
神社や寺は神聖な場所とされているから、撮影禁止となっている場合が多い。境内はOKでも内部や儀式の撮影は禁止という場合もある。
「お前んとこの神様、心狭すぎね?」
心の狭い広いの問題ではないと思う。
だが、紫緒はそれをうまく説明できない。
「ストーカーする人に言われたくないです」
ぽろっと口から出てしまい、慌てて口をつぐんだ。
「ストーカーじゃねえよ!」
叫び、男は怒ったように背を向けて歩き出した。