激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
気になったが、聞くこともできずに社務所に入る。
そこには頭を抱えて事務机に向かっている千暁がいた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様」
千暁は笑顔を作って答える。が、疲労が色濃く出ていた。
タイムカードを切って出ようとして、立ち止まる。
逡巡ののち、紫緒は振り返る。
「なにかあったんですか?」
「大したことではありません」
「ぜんぜんそうは見えないです」
紫緒はそう言って、千暁の隣に座った。
「以前は私が話を聞いていただきました。今度は私が聞きます」
「そういうわけには」
「以前、おっしゃいましたよね。話すだけでも楽になるかも、って。私じゃダメですか? 私、役に立ちたいんです」
紫緒が言うと、千暁は穏やかな笑みを浮かべる。その笑顔に、紫緒は壁を感じた。
「すでに役に立ってくださってます。ですから大丈夫です」
「……すみません」
謝って、紫緒は立ち上がった。
いつも千暁が優しいから、自分は勘違いしていたようだ。
所詮、他人だ。
涙が浮かびそうになり、紫緒は必死にそれをこらえた。
そこには頭を抱えて事務机に向かっている千暁がいた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様」
千暁は笑顔を作って答える。が、疲労が色濃く出ていた。
タイムカードを切って出ようとして、立ち止まる。
逡巡ののち、紫緒は振り返る。
「なにかあったんですか?」
「大したことではありません」
「ぜんぜんそうは見えないです」
紫緒はそう言って、千暁の隣に座った。
「以前は私が話を聞いていただきました。今度は私が聞きます」
「そういうわけには」
「以前、おっしゃいましたよね。話すだけでも楽になるかも、って。私じゃダメですか? 私、役に立ちたいんです」
紫緒が言うと、千暁は穏やかな笑みを浮かべる。その笑顔に、紫緒は壁を感じた。
「すでに役に立ってくださってます。ですから大丈夫です」
「……すみません」
謝って、紫緒は立ち上がった。
いつも千暁が優しいから、自分は勘違いしていたようだ。
所詮、他人だ。
涙が浮かびそうになり、紫緒は必死にそれをこらえた。