激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 だけど、本当にいいのだろうか。初めて会った人に、甘えすぎではないだろうか。
 迷う紫緒に、神主がさらに言う。

「天は自ら助くる者を助くと言いますが、私では助けになりませんか?」
 紫緒は目を見はった。
 祖母がよく口にしていた言葉を、神主からきくことになるとは。

 もしかして、本当に彼は天から遣わされた助けなのだろうか。

 その思いは自然に紫緒の心に沁みた。
 以前にもこの神社で紫緒は心を救われた。そのときの彼はもうここにいないようだけれど、ここの神社の人は総じて優しいのだろうか。

「お願いします」
 紫緒は深々と頭を下げた。
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