激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない

***

 両親は共働きだった。
 だから一番に紫緒の面倒をみてくれたのは祖母だった。

 小学校から帰ると祖母がいて、一緒にテレビを見て、両親が帰るのを待った。
 祖母は優しくて、だから大好きだった。
 おやつをこっそりくれたり、紫緒のわがままにつきあってくれたり。

 だから亡くなったとき、祖母がいない毎日が苦しくかった。
 よく一緒に訪れた神社に一人で行っていないだろうか。
 ふと、そんなことを思った。

 葬式に参加し、火葬場にも行った。父と母が一緒に泣いているのも見た。
 だから、祖母が旅立ったことはわかっている。
 それでも、思いついたそれにすがるくらいには悲しく寂しかった。

 神社のどこを探しても、祖母はいなかった。
 当然の事実にうちのめされ、紫緒は泣いた。
 ひとしきり泣いて、余韻のように嗚咽をもらしているときだった。

「大丈夫?」
 戸惑うような声に、紫緒はそちらを見た。
 若い神主がいた。小学生の彼女には、彼はずいぶんと年上に見えた。

「おばあちゃんがいないの」
「迷子なの?」

 紫緒は首を振った。
「死んじゃったの」
「そっか……残念だったね」
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