激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 雷がひらめき、部屋が一瞬だけ照らされた。
 背の高いミカが逆光でシルエットだけになり、その目だけがぎらりと詠羅を射竦める。

 詠羅は短くヒッと悲鳴を上げた。
 轟音が響き渡り、詠羅はへなへなと床に崩れ落ちた。

 ***

 紫緒に思いがけないプレゼントが届いたのは、千暁とデートをした翌日だった。
 仕事を終えて家に帰ると、宅配が届いた旨のメモが玄関に挟まっていた。書いたのは朋代で、母屋に取りに来てほしいと書かれていた。

 なんだろう、と思いながら母屋のインターホンを押す。
 朋代が出て来て、紫緒をリビングに招き入れた。

 と、そこには彩陽と美津子、千暁もいた。
 ソファを勧められる。当然のように千暁の横を開けられ、紫緒は照れながら隣に座った。

「宅配があったようですが」
 紫緒が言うと、そうなのよ、と朋代は言った。
 いったん奥へひっこみ、荷物を持って来る。

 渡された大きめの箱には英語で住所と名前が記されていた。
「ミカから」
 思わずつぶやいた。
「あのときの外交官からですか」
 千暁がたずねる。
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