激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「外交官!? なんで?」
 彩陽が驚きの声を上げる。
「幼馴染なんです」
「なにが届いたの?」
「服、ですね」
 隣から伝票を覗き込んだ千暁が言う。

「まあ、開けてみて!」
「朋代さんたら、失礼ですよ」
 美津子があきれたような声を出す。

「気になるじゃない」
 わくわくと言う朋代に、プレッシャーを感じ、紫緒は負けた。
「ここで開けてもいいですか」
「もちろん!」
「紫緒さん、無理しなくていいですよ」
「大丈夫です」
 紫緒は開封し、ふたを開けた。

 中に入っていたのは、薄いピンクのドレスだった。織り込まれた銀糸がきらきらと輝く。同梱されたバッグと靴も銀色でビジューがついていてかわいい。さらにはネックレスとイヤリングも入っている。

 そのとき、紫緒のスマホが震えた。ミカからだった。
 すみません、と断って紫緒はメッセージを確認する。

『プレゼント、届いた? そのドレスを着てレセプションに来て。当日は迎えに行くからね』
「ミカからです。これを着てレセプションに来てほしいって」
 紫緒は思わず千暁を見た。

 彼は相変わらず穏やかな笑みを浮かべている。が、その目がいつもより険しい気がした。
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