激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「幼馴染って、男よね?」
 彩陽が言い、紫緒はためらいながら頷く。
「でも友達です」
「彼もそう思ってる?」
「彩陽! 失礼でしょ!」
 朋代が咎め、彩陽はむっとした顔になった。

「普通の幼馴染に服なんて贈らないでしょ。だけど紫緒さんは千暁だけよね?」
「もちろんですよ」
 千暁が答えて、紫緒の肩を抱く。
 紫緒はうつむく。

「紫緒さん以外は認めないから」
 彩陽の言葉に紫緒は顔をひきつらせた。
 紗苗が言うには彩陽はかなりのブラコンで、だから認めてくれるのはレアケースだろう。だがいかんせん自分は偽物だ。

 どうしよう、どんどん事態が悪化している気がする。
 公認が深まれば、いつどうやって否定すればいいんだろう。
 時期を見て別れたことにするのだろうか。それはそれで気まずい。

「レセプションパーティーには行かないわよね」
「それは彼女の自由ですから」
 決めつける彩陽に、千暁が咎める。
 止めないんだな、と紫緒の胸がちくんと痛んだ。
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