激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
***
廊下に出たミカと詠羅を待ち構えていたのは二人の警備員だった。
二人ともラトメニアの出身であり、がたいが大きい。
見上げるような背と硬そうな筋肉の男たちに、詠羅は怯んだ。
「部外者だ。つまみだせ」
ミカは冷たく言う。
「なんでこんなこと!」
「二度と来るなと言った」
「私は正式な招待客よ!」
「私がいらないと言っている」
ミカの緑の目が冷たく光る。
「外交官は日本の法律に縛られない。この意味がわかるか」
詠羅は息をのんだ。いい意味ではないことは明白だった。
「命が惜しければ大人しく帰れ」
ミカの冷徹な声に、詠羅は身を震わせた。
「わかったわよ」
詠羅は悔しく床をにらみつける。
『追い出せ』
母国語での命令に、警備員は頷く。
詠羅をはさんで警備員は歩き出し、詠羅はとぼとぼとついていく。
「無駄な時間をとらせて」
ミカは吐き捨てるように呟いた。