激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
急いで会場に戻ったミカは、すぐに紫緒のもとに戻った。
紫緒は青い顔をして立っていて、ミカは顔を曇らせた。
「大丈夫?」
「疲れたみたい。緊張したから」
紫緒の言葉に、ミカは困ったように目じりを下げた。
内心では怒りが渦巻いていた。さきほどの女が紫緒にストレスを与えたせいで体調が悪くなったに違いない。
いや。
ミカの目が暗く光る。
これはチャンスではないのか。
「こちらへ。ちょっと休んで行って」
ミカは優しく声をかける。
「……ごめん。甘えさせて」
ミカは紫緒の肩を抱き、誘導する。
細い肩だ、と愛しくその肩を思う。
髪がアップにされているから、たおやかなうなじが見える。儚げで、今すぐ口づけたい衝動にかられる。
ミカと紫緒は長い回廊を歩き、奥にある一室へと入って行った。
「僕の私室。誰も来ないから安心して」
「ごめんね、迷惑かけて」
「迷惑じゃないよ。薬もあるから」
彼は重厚な木のデスクに行き、引き出しから薬を取り出した。冷蔵庫から水のペットボトルを取り、紫緒に差し出す。
「飲んで。楽になるから」
「ありがとう」
紫緒は受け取り、薬を飲んだ。
ごくん、と飲み込むのを見届け、ミカは微笑を浮かべる。