激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 目が覚めると、窓からは明るい陽射しが降り注いでいた。
 紫緒はまだ眠い目をこする。
 景色に見覚えがなくて、どこだっけ、と寝ぼけながら考える。

「おはよ」
 声がして、紫緒はそちらを見た。
 ガウンを羽織ったミカがいた。

 いきなり意識が覚醒した。
 昨夜、気持ちが悪くなって、彼の部屋で休憩させてもらった。自分はきっとそのまま眠ってしまったのだ。

「ごめんね、迷惑かけて」
 ベッドから降りようとするのを、ミカは押しとどめた。

「まだ寝てて。心配だよ」
「仕事があるし」
「休むって連絡しておいた」
「でも」
 紫緒は驚いた。どうやって連絡先を知ったのだろう。

 神社の名前と場所が分かればサイトを確認することができる。そこから連絡したのだろうか。
 パーティーの翌日に休むなんて不真面目と思われそう。そんな不安もあった。

「大丈夫だよ。みんな病欠でも怒るほど心が狭いの?」
「そんなことはない、と思う」
「なら、ゆっくり休んで。食事は運ばせる」
「でも」
< 172 / 241 >

この作品をシェア

pagetop