激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「僕と一緒じゃ嫌?」
「そんなこと言われたら断れないじゃない」
「じゃ、決まり」
 ミカは笑顔を輝かせる。
 紫緒は苦笑し、観念して欠勤を受け入れた。




 朝食を終えて帰ろうとする紫緒を、ミカは引き留める。
「ゆっくり休んでいってよ」
「ミカは仕事でしょ?」

「だけど、君はここにいて。トイレも浴室もあるから自由に使って。着替えも用意あるから」
「え?」
 紫緒はますます困惑した。着替えなんて、一晩で用意できるものだろうか。

「君がいてくれるだけで嬉しいんだから」
 続けざまに、ミカは母国語で言う。
『これからはずっと一緒だよ』

 紫緒はなにを言われたのかわからなくて困惑してしまう。
 ミカはただにこにこと笑みを浮かべていた。



 ミカが仕事のために部屋を出てすぐ、紫緒はバッグを確認した。
 が、家の鍵とスマホが見つからない。
 中身を全部出してもやはり見つからない。
 ベッドの下も含めて部屋中を確認したが、ない。

「どこかで落としたのかな」
 昨夜はバッグを開けていない。
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