激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 ここを突破しないと外には出られない。
 だが、どうやって誤魔化せばいいのか。
 思考を巡らせていたときだった。

「――!」
 声がして、紫緒は振り返る。
 職員らしきスーツの外国の男性が、にらむように紫緒を見下ろしていた。

 いっきに血の気が引いた。
 見つかった。
 ここまで来たのに。
 あと少しなのに。

 再度、男はなにかを言った。

 頭の中が混乱し、関係ないことばかりがぐるぐると巡る。
 千暁の笑顔。
 虹。
 ストーカーの乱入に、千暁のファンの乱入。出て行ってほしいと言っても中に入ろうとした彼女。

 紫緒ははっとした。
 いちかばちかだ。
 紫緒はにこっと笑ってみせた。

「私、ミカのファンです」
 紫緒は続けて言った。
「あい うおんとぅー みーと ミカ」
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