激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
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深沼麻耶はその日、朝早く目が覚めた。
エアコンは稼働しているが、軽く汗をかいていて不快だった。
ふと、朝の高天神社に行ってみようか、と思った。
SSR級の神主がいる。彼は清い流れのようで、麻耶は見た瞬間にファンになっていた。
通い詰めているから、もう顔を覚えられているに違いない。
だが、麻耶は彼に近付きたいとは思わなかった。
遠くから見ているからいいのだ。
彼女は推しに自分を認知してほしくないタイプだった。赤の他人だからこそ思う存分に応援できる。
御朱印はもともと趣味で集めていた。高天神社だけは別で一冊作っている。月ごとに御朱印のはんこが変わるのが楽しみだった。
運が良ければ授与所にSSR神主がいて、彼が書いてくれる。
それがおみくじ以上の運試しになっていた。
もう一つ、御祈祷を受けるのも楽しみだった。
巫女舞はうっとりするし、神聖な空気も好きだ。
これも運が良ければSSR神主がやってくれるから、毎回どきどきした。感覚としては高額ガチャだ。
推しにかけた金額を誇る人もいるが、麻耶は生活が破綻しないように上限を決めている。だから御祈祷は月に一回までだ。
神社へのお参りは多くても一日に一度だけ。決めないと、何度も行ってしまいそうだった。
お賽銭は一度に十円。一円だと両替の手数料で神社の赤字になるからだ。