激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 が、人としてどちらがいいか、というところで結論を決めた。
 砂利をさくさくと踏み進み、お話し中にすみません、と声をかける。

「落とし物を拾ったんですけど」
「すみません、急いでいます。社務所が開いてからお届けください」
 彼は断り、外国人とともに歩き出す。

 彼らはすぐに麻耶の視界から消えた。
「せっかくマイルールを破って来たのに」
 麻耶はため息をついて会社に向かった。

***

 大晴の提案でネットミーティングツールを使い、四人は話をした。
「いきあたりばったりじゃ効率が悪い」
 開口一番、大晴ははそう言った。

「大使館を出てからの足取りを追おう。防犯カメラなんてあちこちにあるんだから、見せてもらうんだ」
 冷静な意見に、四人はまず大使館に向かう。

 千暁は神主の装束のままバイクを飛ばす。その腰には、自宅から持ち出した日本刀。

 大使館の近くで落ち合ったとき、千暁は律と大晴に驚愕された。

「……本物の刀?」
 律の問いに、千暁はうなずく。
「銃刀法違反だろ」
 大晴があきれる。
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