激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「……その車と女性たちの画像は」
「父からの映像を送ります」
 紫緒が女性たちとやりとりする場面だった。

「一人は当社の巫女に見えますが、連絡がつきません」
「めんどくさい! まどろっこしい!」
 大晴がぶちぎれた。

「待ってろ、相手の顔を判別する」
 彼は持ってきたタブレットでなにかの操作を始める。
「できますか」
「彼女の瞳を拡大鮮明化する。瞳に映った人物をさらに拡大鮮明化」
 作業を進める。

「できた。送るぞ」
 彼が送った画像に、千暁の顔が険しくなる。

「一人は当社の巫女。もう一人は紫緒さんを襲った方です」
「襲ったやつに「方」とか言うなよ」
 大晴がぼやく。

「襲われた? そんなこと、僕には一言も」
 呆然とするミカにかまわず千暁は続けた。

「名前は和久田優奈。警察にまた連絡してみます」
「……氏子さんに協力してもらえないかなあ」
 律が言う。
「父に頼んでみます」

 千暁は警察に連絡し、和久田優奈の連絡先を聞くが、拒否された。
 署長に交渉しようと電話を繋げるように頼むが、それも拒否された。

 いい加減にしてくれと言わんばかりの返答に、千暁は電話を切るしかなかった。

 続いて嘉則に連絡を入れる。
 氏子の協力を頼んだが、嘉則は渋った。
< 204 / 241 >

この作品をシェア

pagetop