激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
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古びたカラオケ店に到着した千暁は、ヘルメットを脱いで息をついた。
駐車場には防犯カメラの映像で見た車と、見知らぬ黒いバンが止まっていた。
バイクを降りたところで黒塗りの車と二台のタクシーが到着する。
「ちょうど着いて良かった」
合流した律が言う。大晴とミカも小走りで集まった。
「行きましょう」
千暁が言い、四人はカラオケ店に入る。
眠そうな目をした金茶の髪の店員がカウンターにいた。
「人を探している。女性三人だ、どこにいる!」
ミカがカウンターの男に言い、店員はうろんな目を彼に向けた。
「店内でのナンパは禁止なんすよ」
「我々の連れです。呼び出されたのですよ」
神主装束の千暁が言うと、店員はまたうさんくさそうな目で見た。
「なにそれ、神主のコスプレ? 呼び出されたんなら部屋も言われてるはずでしょ」
「お願い、教えてくれない?」
律が言うと、店員は、あっと声を上げた。
「お久しぶりっす! いつ以来ですかね、またあの笛、聞かせてくださいよ」
「ごめん、急いでる。部屋、教えて?」
「女ばっかの部屋でしたよね。変なんですよね、歌ってなくて、女子会っぽくもなくて」
言いながら、彼は部屋番号を確認する。
「あそこですね」
店員が指さしたときだった。