激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない

***

 古びたカラオケ店に到着した千暁は、ヘルメットを脱いで息をついた。
 駐車場には防犯カメラの映像で見た車と、見知らぬ黒いバンが止まっていた。
 バイクを降りたところで黒塗りの車と二台のタクシーが到着する。

「ちょうど着いて良かった」
 合流した律が言う。大晴とミカも小走りで集まった。
「行きましょう」
 千暁が言い、四人はカラオケ店に入る。

 眠そうな目をした金茶の髪の店員がカウンターにいた。
「人を探している。女性三人だ、どこにいる!」
 ミカがカウンターの男に言い、店員はうろんな目を彼に向けた。

「店内でのナンパは禁止なんすよ」
「我々の連れです。呼び出されたのですよ」
 神主装束の千暁が言うと、店員はまたうさんくさそうな目で見た。
「なにそれ、神主のコスプレ? 呼び出されたんなら部屋も言われてるはずでしょ」

「お願い、教えてくれない?」
 律が言うと、店員は、あっと声を上げた。

「お久しぶりっす! いつ以来ですかね、またあの笛、聞かせてくださいよ」
「ごめん、急いでる。部屋、教えて?」

「女ばっかの部屋でしたよね。変なんですよね、歌ってなくて、女子会っぽくもなくて」
 言いながら、彼は部屋番号を確認する。
「あそこですね」
 店員が指さしたときだった。
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